中心静脈栄養法(TPN:Home Parenteral Nutrition)は、心臓に近い中心静脈に鎖骨下静脈や内頸静脈、大腿静脈挿入し、カテーテルを留置するCV(Central Vein)と、上腕(尺側皮静脈、橈側皮静脈、肘正中皮静脈)からカテーテルを留置するPICC(peripherally inserted central venous catheterのvenousを略したもの)があります。
カテーテルには、シングル、ダブル、トリプルルーメンといったものがあり、遠位(注入するところから一番遠いところ(心臓に近いところ)が一番大きくなっており、ハブがまっすぐになっているものに一番流量の大きいものをつなぐような構造となっています。(断面積が大きいため)
見ている感じだとダブルルーメンまではよく使用されている感じですね。また、パワーPICCやパワーポートだど、高圧注入も可能で造影剤を用いたCT等に使用できます。
これらを入れる目的として、
①長期間留置できること
②採血や処置の度に穿刺しなくても投薬・処置が可能となること(末梢血管確保困難な患者状態や化学療法等)
③高エネルギー輸液が可能となること
これらがCVやPICCを挿入するメリットがあります。
実際には、何らかの原因で口から物が食べられない場合、胃や腸がうまく機能しない場合に、栄養を注入しないといつまでも病状が良くならないために、栄養状態改善のため挿入されます。
ここで、金額として
G005-2 中心静脈注射用カテーテル挿入1400点
一回の手技で14000円かかります。抹消採血よりも格段に高いですね。
参考として、植込み型のCVポート増設を行うと
K618 中心静脈注射用植込型カテーテル設置
1 四肢に設置した場合10,500点
2 頭頸部その他に設置した場合10,800点
となります。
今回、医療事故情報(No,209)で中心静脈から高エネルギー輸液を高濃度糖液がふつうの抹消血管から投与されている事例が多いそうです。
受け持ち患者を複数名で診ていると点滴が交差したり、前日PICCが挿入されていて、その後抜去したことを共有できてないとインシデントが発生しているようです。
PICCから高エネルギー輸液等を投与せず、末梢血管からの投与した場合には、血液量の乏しいことで、血管痛や静脈炎が引き起こされるようです。
そして令和6年の診療報酬改定ですが、 療養病棟における中心静脈栄養について、患者の疾患及び状態並びに実施した期間に応じた医療区分に見直す。中心静脈栄養を終了後7日間に限り、終了前の医療区分により算定することができる。
とあり。実質厳しくなりました。ある程度の期間で人工的な栄養ではなく、自力で栄養取れるように管理しましょうという表れでもあるのですが、なかなか大変かもしれませんね。
いまは、NP(Nurse Practitioner)が施行していることが多くなってきています。ここでも医師のタスクシフトが進んでいます。このタスクシフトがほぼ9割となれば、診療報酬の減額もいつかされるのではないかなとも思います。
タスクシフトが進むと医行為の価値が下がり、診療報酬減額・・これが厚生労働省が思い描いているのでしょうかね。