シマウマのように白か黒か・・・

医療の片隅で思う疑問や思いをつづる三十路

トコジラミ

私も旅が好きでよく出かけているのですが、最近本当に気をつけています。

 

ホテルや旅館では、夜は電気を消さないようにしていますし、かばんや衣服等を直接ホテルの備品に置かないよう袋等を使用しています。

 

自分の家に『トコジラミ』を持ち込ませないようにしないと大変なことになります。

 

トコジラミに嚙まれると、強烈なかゆみと赤みが出るようです。1週間以上続くようなのでゴールデンウィーク気を付けてくださいね。

 

私は、ずっと仕事です。。。

 

GWは「トコジラミ」に要注意 旅行先から持ち帰らないためには… | 毎日新聞 (mainichi.jp)

女性医師による治療は、女性患者で有益との報告から

東京大学UCLAの研究チームによる共同研究にて、後ろ向き検討を行ったところ患者の30日死亡率や再入院率を病院レベルに応じで症例を行い検討した結果

 

女性医師による治療を受けた場合に男女両方の患者の死亡率が低い。

特に女性医師から女性患者に対するケアを受けたほうが利益が大きかったとこのことでした。

また、女性医師による治療や再入院率は男性医師に治療を受けるよりも低い結果となったとのことでした。

 

いろいろと考えさせられることはあります。

まず、各国の男女医師数の比較を検討してみます。

 

OECD各国と比較しても日本は、格段に女性医師の割合が低く、2割しかありません。しかし、年齢階層別で考えると女性医師の割合が増加していておりますが、直近では横ばいであることが示されています。

 

診療科別で考えると外科系は女性比率が少ないこともわかります。

 

よって、日本で女性医師に治療を受ける機会がなかなかないのかなと思います。たとえ病院のホームページから女性医師を見つけ外来に行ったとしても手術・周術期管理をその人で指定できないのもなかなか難しい問題ですね。

 

ネットで書き込まれている内容としては、症例の難易度や重症度の違いです。

 

女性医師のほうが比較的重症度の低い患者を当てられているというものです。

この書き込みを検討すると難しいことがいくつかあります。

①女性医師の個人の労務環境について

・女性医師が時短勤務で残業できない場合は、軽症な患者やそもそも外来のみで病棟管理を行っていないケースもあるかと思います。また、当直や夜勤から免除されていることも昨今あります。詳細なケースは不明ですが主治医制を採用しているが、病棟管理を行っていたのは、別の医師というケースも往々にして数字に含まれているのではないかなと思います。

労務環境に準じたに院内・院外活動です。

・①にも含まれているかもしれませんが、院内の委員会や院外の学会司会者、座長、分科会、医局会の行事や雑務等本来業務以外の業務を男性医師のウエイトが高い気がします。その結果本来業務に使用すべき時間(患者に対して使用する時間)を奪われているような気がします。あくまで主観なのですみません。

 

医師という立場はあれど、女性へ踏み込んだ発言できない背景もあるかもしれません。セクハラ問題もケアという観点から女性の方が優れていると思いますね。まったく根拠はないですが、女性にやられて恥ずかしいと思う男性より逆の方が圧倒的に多いです。その観点から男性がケアプロセスを積極的に介入ですることは難しい世の中であることも一重にあるのかもしれませんね。

 

私も入院したことがありますが、主治医が女性医師でした。女性医師は何回か入院中に顔を出したことがありました。しかし、女性医師の家庭の事情で2日休み(おそらく子供の病気)となった時の代診医の男の人は、2日に1回の頻度で見えました。

まぁそれだけでこれがすべてではないですが、女性の方が決められた手順で漏れがないようにこなしていく気がします。

 

すべてがすべて肯定するわけではありませんが、男性医師が良い点は多くあります。本当に歴史的な発明をする。世界的名医と呼ばれ、後世まで語りづがれる人男性医師の方が多いです。日本に限ったことを言えば、男性医師の方が多いからでしょうね。

 

医学の難しいことは、同じ病気で比較しても患者背景を含めまったく同じ時間・症状で比較することができないことです。

 

男か女という性差で比較した論文ですが、女性医師に治療をお願いしたいということもあるかもしれませんが、病院単位でチームとして取り組んでいけばおのずと女性医師が診察・治療した結果に近づくと思います。

 

みんなで一緒になって患者を診ることが重要ですね。

 

世界各国比較|医師の男女比ランキング・年代・診療科別 - ラボコート (labcoat.jp)

 

Comparison of Hospital Mortality and Readmission Rates by Physician and Patient Sex | Annals of Internal Medicine (acpjournals.org)

 

400238373.pdf (u-tokyo.ac.jp)

カスハラ対策に乗り出す。

今回は、医療とは違うところから気になったものです。JR東日本は悪質なカスハラに対し厳正に対応すると発表しました。

 

私はこの発表にとても感銘を受けました。

日本には、「お客様は神様です」といった言葉があります。調べたところ三木春夫さんという大阪万博の『世界の国からこんにちは』という歌を歌っている歌手の方が元だそうです。

 

オフィシャルサイトにこの経緯や思いが記載されていますので、そちらを見てください。

「お客様は神様です」について (minamiharuo.jp)

 

いつの間にか、客がえらい。といった誤認が生まれています。これはひとえにマスコミの問題です。たしかに、40年前と比較するとサービス提供者が横柄な態度をとることは少なくなってきていると思います。一方で、サービスを受ける人の態度は年々横柄になってきていると思います。

 

私も接遇講義を何度か受けたことがあります。印象は良くなりその対応をされた人はとても気持ち良いものかもしれません。ただ、それは相手もその気持ちを受け取ってくれる人ならばの話です。どのような対応をしても受け入れない。自分中心な人は一定数います。そして、そのような人の対応ばかりしていれば、接遇に気を付けている人の心は蝕まれていきます。最終行きつく先は、うつ病もしくは・・・

 

接遇が良ければ問題は起こらないではなく”起きにくい”です。サービス提供側と受諾側すれ違いはどんな状況でも発生し、結果ハラスメントが生まれます。

 

いまのサービス提供側はどうでしょうか?高圧的な威嚇や罵倒、長時間の居座り、自己中心的な発言で迷惑行為をかけた人を見かけた場合日本人はすぐに謝りませんか?中国や諸外国は違います。誤ったら負けで相手の要求をのむことになります。

 

現代はSNSでそのような行為が拡散され、真似をすることで繰り返される悲劇があります。

 

理路整然とし、厳格に立ち向かうことが必要です。

 

医療も同じです。救急車を勝手に呼ばれて病院に来たら医療費を払う理由がないと言って払わない人。帰りのタクシー代を請求する人。自分の要求や薬がもらえないと勝手に動画を取り出す人。自分の思った治療や入院ができないとありもしない苦情や悪口を口コミで投稿する。

 

これら対応にも労力がかかります。大病院では、警察OBや弁護士が院内に介入し即対応するところもあるようです。

 

今回のJR東日本の対応は、従業員を守るという上でも非常に評価します。最近、銀行業も始めるJR東日本。今後の活躍を期待したいと思います。そしてこの姿勢が日本企業に追従することを期待します。

 

 

JR東日本「カスハラ」対処方針策定 乗客から罵声など後絶たず | NHK | 鉄道

コロナ診療の手引き第10.1版 ついに最終の改定

令和2年1月15日に国内1例目のCOVID-19罹患患者が確認され、4年と3カ月。ようやく長い長いこの病気も手引という形ではいったん区切りを迎えることになりました。

 

本当に長かった。私はこの渦中の中にいて多くの経験をしました。

 

私が忘れてほしくないことを1つ挙げるのであれば、内閣官房職員の自殺です。

私はこの方の知り合いでもなんの関係もありませんが、このニュースを聞いて本当に悔しかったです。私も同様の立場であったことから、この出来事は本当に衝撃的でした。

名前も知らないこの方は、とっても優秀だと思います。正義感に満ち溢れていたと思います。これからの人生楽しいことが待っていたはずなのに。考えれないほど辛さを経験したためにこの結果。私は悔しいです。

 

家族もいらっしゃったのだと思います。日本のコロナ関連死の中で一番つらい死だと思います。

 

現場の国立保健医療科学院は、この事故のちょうど4か月前に滞在した場所でした。そこまで不便な環境ではなかったという印象です。

 

この職員を叱責をした人たちはいまも普通の生活をされておられると思いますが、いま思い返してどう考えているのでしょうか?確かに未知のウイルス。自分が死ぬかもしれない恐怖はあったのかもしれません。でも、自分以外の人のことを考えれば、発症するか観察される立場であったと考える心はないのでしょうか?

 

お亡くなりになった職員以外にも最前線勤務されていた人、バスを運転してくれていた人など多くの方が、この時国を守ってくれ本当にありがとうございます。感謝しか有馬園。

 

すべてのコロナウイルスと戦ったひとに届かないだろうけど、初期対応していただいたすべての国の職員へここに自分の気持ちを書きたいと思います。

 

もし、次の新興感染症が発生した場合自分はなにか役に立つのだろうか?だれかの支えになれるのだろうか?

 

自分が担当した人に一度お礼をされたことがありました。でも自分は何かできたのかわからないですが、その患者にとっては、私と話をして支えてもらって嬉しかったと言ってもらえました。

 

この気持ちを自殺された方に伝えたいです。

 

一つの区切りとして記載しました。これからもこの病気は続きますがすべての罹患した人の体調が良くなることを祈っています。

 

新型コロナ、自殺した職員らに帰国者から寄せられた苛烈怒号|NEWSポストセブン (news-postseven.com)

 

001248424.pdf (mhlw.go.jp)

鎮静剤「トリクロリールシロップ」と「トリクロロ酢酸液」を間違え、乳児入院

聴力検査のために耳鼻科に受診していた6か月の乳児に、トリクロリールシロップとトリクロロ酢酸液を間違えて投与し、10日間入院したとのこと。

 

最初は、そんな間違え起こるわけないと思っていたけど、確かに指示処方箋なく、口頭指示で受け取ると「トリクロ」よろしく。と言われたらどうだろう。耳鼻科では、トリクロール酢酸を用いて下鼻甲介粘膜を焼灼する日帰り手術も日常的に行われいると思うし、間違えてしまうと思います。

 

今回この出来事以外で良くないのは、乳児が嘔吐したあとにトリクロリールシロップを飲ませたこととすぐに医師や他のスタッフに伝達しなかった2点は良くなかったですね。

 

なにか起こったら即相談。隠すことは本当によくありません。

 

先月(3月)の話ということで、病院としての対応は適切でないかなと思います。処方については、複数名で確認するダブルチェックを徹底してほしいものです。

 

乳児にイボ治療の薬品を誤投与 鎮静剤「トリクロリールシップ」とイボ治療の「トリクロロ酢酸液」を間違えたか 口の中やあごに炎症で10日間入院 滋賀・近江八幡市立病院(ABCニュース) - Yahoo!ニュース

中心静脈栄養の話題

中心静脈栄養法(TPN:Home Parenteral Nutrition)は、心臓に近い中心静脈に鎖骨下静脈や内頸静脈、大腿静脈挿入し、カテーテルを留置するCV(Central Vein)と、上腕(尺側皮静脈、橈側皮静脈、肘正中皮静脈)からカテーテルを留置するPICC(peripherally inserted central venous catheterのvenousを略したもの)があります。

カテーテルには、シングル、ダブル、トリプルルーメンといったものがあり、遠位(注入するところから一番遠いところ(心臓に近いところ)が一番大きくなっており、ハブがまっすぐになっているものに一番流量の大きいものをつなぐような構造となっています。(断面積が大きいため)

 見ている感じだとダブルルーメンまではよく使用されている感じですね。また、パワーPICCやパワーポートだど、高圧注入も可能で造影剤を用いたCT等に使用できます。

 これらを入れる目的として、

①長期間留置できること

②採血や処置の度に穿刺しなくても投薬・処置が可能となること(末梢血管確保困難な患者状態や化学療法等)

③高エネルギー輸液が可能となること

これらがCVやPICCを挿入するメリットがあります。

実際には、何らかの原因で口から物が食べられない場合、胃や腸がうまく機能しない場合に、栄養を注入しないといつまでも病状が良くならないために、栄養状態改善のため挿入されます。

 

ここで、金額として

G005-2 中心静脈注射用カテーテル挿入1400点

一回の手技で14000円かかります。抹消採血よりも格段に高いですね。

 

参考として、植込み型のCVポート増設を行うと

K618 中心静脈注射用植込型カテーテル設置
 1 四肢に設置した場合10,500点
 2 頭頸部その他に設置した場合10,800点

 

となります。

 

今回、医療事故情報(No,209)で中心静脈から高エネルギー輸液を高濃度糖液がふつうの抹消血管から投与されている事例が多いそうです。

 

受け持ち患者を複数名で診ていると点滴が交差したり、前日PICCが挿入されていて、その後抜去したことを共有できてないとインシデントが発生しているようです。

 

PICCから高エネルギー輸液等を投与せず、末梢血管からの投与した場合には、血液量の乏しいことで、血管痛や静脈炎が引き起こされるようです。

 

そして令和6年の診療報酬改定ですが、 療養病棟における中心静脈栄養について、患者の疾患及び状態並びに実施した期間に応じた医療区分に見直す。中心静脈栄養を終了後7日間に限り、終了前の医療区分により算定することができる。

とあり。実質厳しくなりました。ある程度の期間で人工的な栄養ではなく、自力で栄養取れるように管理しましょうという表れでもあるのですが、なかなか大変かもしれませんね。

 

いまは、NP(Nurse Practitioner)が施行していることが多くなってきています。ここでも医師のタスクシフトが進んでいます。このタスクシフトがほぼ9割となれば、診療報酬の減額もいつかされるのではないかなとも思います。

 

タスクシフトが進むと医行為の価値が下がり、診療報酬減額・・これが厚生労働省が思い描いているのでしょうかね。

 

240417_5.pdf (ajha.or.jp)

 

001218901.pdf (mhlw.go.jp)

医師一人で手術

名古屋市立大学病院でANSURサージカルユニット(ANSUR | Surgery製品情報 | ASAHI INTECC PRODUCTS (asahi-intecc.com))を用いて、1人の医師のみで胆摘を行ったそうです。

 

ロボットアームを用いて一人で手術する時代。とても素晴らしい技術となった一方で、確かな手元技術と急変時の対応が行えるのが前提だと思います。

 

昨今では、

①拘束時間の長い外科医を志す医学生が減少

働き方改革で手術見学時間の減少

③手術の助手として夜も呼び出され参加して技術を学んでいたことも都市部では少なくなる。

美容外科や皮膚科、耳鼻咽喉科を志望する医学生が増加

 

いろいろな理由で外科医が少なくなっているので、このような一人でも手術できるユニットが開発されたとのことですが、本当に一人で手術を行うのは危険だと思います。

 

思い込みによる左右間違え。手技間違え。患者間違え。そのようなことが横行する気がします。2人以上の患者認証や手技確認は必要だし、急変時対応も医師1名では、開腹手術への切り替えも遅くなってしまいます。

 

今回胆摘だから良いという問題ではありません。これが発表され、医師一人でも手術できるからもっと患者へ手術をしろ。効率性を重視しろ。といった医学知識のない経営コンサルタントや経営者が増えないことを祈ります。

 

医療訴訟となれば、訴えられた医師のメンタルは大変なのですから・・運悪く悪評がついたり、どこかに書き込みでもされようものなら・・・

 

あくまで、素晴らしい技術であることは言うまでもありません。hinotoriやダヴィンチといったいろいろなサージカルユニットが医学の質向上につながっていけたらより患者に優しい手術ができると思います。

 

世界初の手術に成功…名古屋市立大学病院が腹腔鏡手術支援ロボットで胆のう摘出 助手が要らず執刀医1人で(東海テレビ) - Yahoo!ニュース