シマウマのように白か黒か・・・

医療の片隅で思う疑問や思いをつづる三十路

ワイヤ抜き忘れて、患者翌年死亡

寝屋川生野病院で入院していた男性に栄養補給用のカテーテルを挿入する手術の際、足の付け根から心臓近くの血管までカテーテルを誘導するワイヤを抜き忘れ、その後に計8回撮影されたレントゲン写真にワイヤがあることに気づいていながら対処を怠り、転院先の病院で摘出手術を行ったものの翌年死亡したとのこと。

 

そのため、執刀した医師は、適切な医療措置でワイヤーが体内に残っていたことが直ちに死につながるわけではなく、死亡との因果関係はないとして無罪を主張していたが、禁錮1年、執行猶予3年の有罪判決となった。

 

いろいろな記事をみると、死因につながる直接的な記載がないため不明であるが裁判の結果このような判例となっているということは、脳梗塞や血管損傷等があったのかなと推測されます。

 

仮に、ワイヤが体内に残されたままで起こることとして、

血栓形成のリスク

②感染のリスク

③ワイヤ残存・破損によるリスク

が考えられます。

①であれば、脳梗塞・肺塞栓による死亡が疑われます。

②であれば、様々な感染症です。ワイヤがあることで特異的に増加するのか?因果関係は難しいですね。

③であれば、因果関係ありと判断されそうですね。

 

しかし、ワイヤが体内にあることが映っていたということですが、そもそもカテの方がワイヤより短いですし、体内に残存したままということが理解できません。

 

少なくとも以下の4つのポイントで気づけるはずです。

 

1)手技終了後に片づける際にワイヤの有無を看護師等手技に立ち会ったものが確認しないのか?

2)手術前後でレントゲンは撮影し、異物確認をするのが普通だと思いますが、この病院では行われていないのか?

3)中心静脈栄養のためのカテーテルであれば、点滴をつなぐ際に病棟の看護師も気づかなかったのでしょうか?

4)撮影した写真を見て診療放射線技師も疑義照会しないのでしょうか?

 

まだあると思いますが、様々なところに問題があると感じます。

 

仮にワイヤをカテーテルからすべて挿入してしまうことで穿孔、弁不全、乳頭筋の損傷が考えられます。この病院は、心臓血管外科が標榜されていないため心臓血管外科のある高次病院に搬送されて摘出術を受けたのだと推定すると、③なのでしょうか?

 

にしても怖いものですね。患者から見ると、入院する病院は緊急搬送でない限りは、選べますが、手技、処置をする人は選べないですから。判断することは難しいですね。