シマウマのように白か黒か・・・

医療の片隅で思う疑問や思いをつづる三十路

職業性の胆管がん、免疫療法の有効性か?

2012年、大阪市中央区の印刷会社の多数の従業員に、この胆管でがんが見つかっていることが発覚した。

原因としては、インキ洗浄用の塩素系有機溶剤に含まれる化学物質「1、2―ジクロロプロパン」であるとされている。

 

職場のあんぜんサイト:化学物質:1,2-ジクロロプロパン (mhlw.go.jp)より

厚労省のサイトを引用すると、マウス実験において、高用量投与すると肝細胞がんの合計頻度が有意な増加であること。高濃度の吸入は、細気管支肺胞上皮細胞、ハーダー腺(脂質を分泌して目の潤滑作用する目の内側の奥にある涙腺の一つ)の線種増加。そして、その子供世代に出生体重の低値、新生児の死亡率増加が認められた。

そして人間では、胆のうがんの増加が示されたため労働安全基準法施行規則第35条に規定される危険物質となった。

 

それをオプジーボ投与でがんが画像上消失したとのことで、遺伝子の変異が多い職業がんに免疫チェックポイント阻害薬である本薬剤が有効であると示唆されたとのことでした。

 

印刷系の職場の人で特殊インク等を用いている人には、腺がん(特に胃、腸、子宮体部、肺、乳房、卵巣、前立腺、肝臓、膵臓、胆のう)に注意してみないといけないなと感じました。症状だけでなく、仕事内容からも推測する必要が切にあると感じました。

 

ちなみに、オプジーボニボルマブ)の2023年薬価は、155,072円。当初の729,849円からは、2割程度になりましたがまだまだ高いですね。保険適応が拡大されたことにも影響されていると思いますが、命を救うのにこれだけの医療費がかかっていること。今回は職業からくるもの。いわば未然に防げたかもしれないものです。

 

根本は、日本の基礎研究を行う人の減少が原因なのでしょうか?もっと知見を得ていたら罹患した人が不幸にならなければ良いですが。そして、不妊や子供の代に影響がでないことを祈ります。

 

今日は、ここまでおやすみなさい。